インスタをスクロールしていると、元同級生の投稿が目に飛び込んできます。完璧なマンション、モデルみたいな恋人、家具を噛まないお利口な犬。ふと、こんな考えが頭をよぎります。If I had that life, I would be happy(もしあの生活を手に入れたら、私は幸せだろうな)。
そう、まさにその時、あなたは英語の中でも特に洗練されていて、でも誤解されがちな「あるツール」を使っていたんです。
ほとんどの参考書では、これを「仮定法」と呼んでいます。でも、その名前はもう忘れてください。意味のない専門用語です。もっと分かりやすい呼び方があります。それが「一歩戻す」ルールです。
このルールはめちゃくちゃシンプルです。「今、現実じゃないこと」について話すとき、例えば「願い」や「夢」、「もしもの状況」なんかですね。動詞の時制を「一歩だけ過去に戻す」んです。
あなたはその生活を「持っていない」から、have は had になります。
(その状況では)「幸せじゃない」から、am は were になる、という具合です。
これは、写真のフィルターみたいな時制の変化なんです。聞いている相手に、こう合図を送ります。「注意!今から話すことは現実じゃないよ。これから想像の世界に入るよ」って。
I wish I had more time.
時間がもっとあればいいのに。
If he knew the truth, he would be furious.
もし彼が真実を知っていたら、激怒するでしょう。
If I were you, I would text him back.
もし私があなただったら、彼に返信します。
It feels as if he was the only person in the room.
まるで彼が部屋にいる唯一の人物であるかのように感じました。
「ありえない話」のメカニズム
この「一歩戻す」ルールは、ただの文法ではありません。これは「思考のテクノロジー」なんです。英語が「もう一つの現実」を構築する方法そのものです。
時制を過去にずらすと、アイデアのための「安全な空間」が生まれます。結果を気にせず、可能性を自由に試せる「思考のサンドボックス」を作っているんです。
If we launched this feature...(もしこの機能をリリースしたら…)と言うのと、If we launch this feature...(もしこの機能をリリースするなら…)と言うのでは、全く意味合いが違います。前者(launched)は純粋な仮説です。創造的で、プレッシャーのない思考を促します。後者(launch)は、今にも実行されそうな現実的な計画のように感じられます。プレッシャーがかかりますよね。
過去形は「距離」を生み出します。時間的な距離だけでなく、「現実からの距離」です。会話に参加している全員に、「リラックスして。ただ探っているだけだから。これは決定事項じゃないよ」と伝えるコードなんです。これによって、過激なアイデアを提案したり、難しいアドバイス(If I were you...)をしたり、深い願望(I wish I knew...)を表明したりしても、人間関係の摩擦を起こさずに済むのです。
黄金律はこちらです。「非現実の現在」について話すときは、「現実の過去」を使う。昨日について話しているのではなく、存在しない「今日のバージョン」について話しているんです。
If I had a million dollars, I'd buy a small bookstore.
もし100万ドルあったら、小さな本屋さんを買うだろうな。