友達から最悪のデートの後でメッセージが来ました。「He used up all my social battery(彼が私の社交的なエネルギーを使い果たした)」と。
言いたいことは分かりますよね。でも、ちょっと待ってください。「up」ってなんでしょう? 社交的なバッテリーが天井まで浮いていったわけじゃないですよね。
昔の教科書には、「up」は「空に向かって」って書いてありましたよね。確かに、そういう意味もあります。でも、それはスマホが電話をかけるだけのものだ、って言ってるようなものです。真実の、一番つまらない10%に過ぎません。
「up」の本当の役割は、たった一つのことを示すことです。それは「100%」。つまり「完了」です。プログレスバーが満タンになった状態。タスクが完全に終わった状態です。
こう考えてみてください。「食べる」は動作です。でも「to eat up」は結果を表します。何も残らないまで食べた、という意味です。お皿は空っぽ。ミッションは完了です。
My little brother ate up all the cookies.
弟がクッキーを全部食べきってしまいました。
Let's clean up this mess.
この散らかった状態をきれいに片付けましょう。
His lies don't add up.
彼の嘘は辻褄が合いません。
She brought up a good point in the meeting.
彼女は会議で良い点を提起しました。
プログレスバーの原則
ここで裏ワザをお伝えしましょう。「up」を方向だと考えるのはやめてください。ビデオゲームでレベルをクリアした時に鳴る音だと考えてみてください。
それは、あるプロセスが自然な終わりに達したことを示す、静かな合図なんです。
コップを「To fill」(満たす)のはプロセスです。コップを「To fill up」するというのは、水がてっぺんまで達した状態を意味します。100%満タン。もうそれ以上は入れられません。
「話す」は動作です。「To speak up」は、みんなに聞こえるのに必要な100%のレベルまで音量を上げることを意味します。
「見せる」は動作です。「To show up」は、旅を完了して目的地に到着することを意味します。あなたの出席が100%確定した状態です。
だから、誰かと「break up」(別れる)んです。関係が完全に壊れてしまった状態。終わりです。だから、難しいタスクを「give up」(諦める)んです。私たちの努力が100%尽きてしまった状態です。
黄金ルールです。「up」は物理的な高さのことではありません。概念的な「完了」を表します。シンプルな動詞、つまり「動作」に、最終的な100%完了した「結果」へと注意を向けさせるんです。「している」と「し終えた」の違い、と言えるでしょう。
日本語では「〜きる」「〜終える」「〜しまう」といった動詞や助動詞で完了を表すことが多いですが、英語では「up」というシンプルな前置詞でこのニュアンスを表現できるのが面白いですね。
We ate up the entire cake.
私たちはケーキを全部食べきりました。