コーヒーショップの列は、まるで動かない巨大な生き物のようです。前にいる誰かはオーツミルクについて揉めています。左では、バリスタがリズミカルな音を立ててエスプレッソを固めています。あなたはただ、ポイントカードを作りたいだけなのに。
レジの店員が、小さなカードとペンをカウンター越しに滑らせてきます。彼はすでにあなたの後ろの客に目をやりながら、You just need to fill this out(これに記入するだけでいいですよ)と言いました。
カードに目を落とします。名前。メールアドレス。誕生日。簡単そうに見えます。でもその瞬間、3つの小さな英単語が頭の中でせめぎ合っています。それは fill in、fill out、そして fill up です。
どれも同じように見えますが、実は違います。そして、ネイティブスピーカーはこれを間違えることがほとんどありません。その秘密は丸暗記じゃダメなんです。大切なのは、あなたが扱っている「空っぽのスペースの形」を理解することです。
Fill in は、小さくて具体的な空欄に使います。画面上のたった1つのピクセルを狙うようなイメージです。1つの空っぽの場所にピンポイントで情報を入れて、完成させる感じですね。
Please fill in your name and email address on the top line.
上の行に名前とメールアドレスをご記入ください。
Fill out は、書類全体に対して使います。これはミッション全体を指すんです。フォームを fill out するというのは、0%の状態から100%完成させること。複数のパートがある、もっと大きなタスクを意味します。
I spent all morning filling out my visa application.
午前中ずっとビザの申請書を記入していました。
「書類仕事」や「ビザ申請書」「税務申告書」といった特定の書類は、国や文化によってかなり違いますよね。でも、大切なのは「決められた形式で情報を埋める書類全般」という核となる考え方です。
だから、コーヒーショップの店員は、カード全体をタスクとして渡したから fill out と言ったんです。もし彼が1行だけを指差していたら、Just fill in your email here, please.(ここにメールアドレスだけ記入してください)と言ったかもしれませんね。
ここで話の方向が変わります。じゃあ fill up はどうでしょう?これは簡単です。情報とは全く関係ありません。Fill up は物理的な「量」に使います。三次元の容器に対して使う言葉なんです。
フォームを fill out します。カップを fill up します。一方はデータについて、もう一方はコーヒー、水、ガソリンなど、空間を占める「物」についてなんです。
Before we leave for the road trip, we need to fill up the car with gas.
ドライブに出かける前に、車にガソリンを満タンにする必要があります。
Could you fill my bottle up with water?
私のボトルに水を入れてもらえますか?
最終奥義 - 容器の法則
動詞の fill について考えるのはやめてください。大事なのは、その「行為」じゃなくて、あなたが目にしている「空っぽのスペース」なんです。英語を話す人は、空っぽの状態を直感的に2つのタイプに分類しています。それは「情報的な空っぽ」と「物理的な空っぽ」です。情報的な空っぽは紙や画面の上にあり、物理的な空っぽは三次元の世界に存在します。
容器の種類がわかれば、選択は自動的に決まります。ページ上の小さな空欄ですか?なら fill in。書類全体ですか?なら fill out。液体や物を入れられるものですか?なら fill up。これは文法のルールじゃありません。世界と関わるための「思考モデル」なんです。
黄金ルール : 動詞を丸暗記しないでください。容器を見極めるんです。空っぽのスペースの形が、あなたに必要なすべてを教えてくれます。
The waiter topped up my water without me asking.
ウェイターは何も言わずに私のグラスに水を足してくれました。
I need to hand in my final essay by noon.
正午までに最終論文を提出しなければなりません。
Did you sign up for the company's health plan?
会社の健康保険に加入しましたか?
I think we're running out of coffee beans.
コーヒー豆がなくなりそうです。
I crossed out the wrong address and wrote the correct one.
間違った住所を消して、正しいものを書きました。