スコアは同点。大会の決勝戦。賞金は100万ドル。観客の歓声が壁のように響く中、防音ブースにいるプレイヤーに聞こえるのは、自分のキーボードを叩くけたたましい音だけ。そして、静寂。画面上のキャラクターが固まり、キーボードが反応しない。点滅するエラーメッセージが一つ表示されます。「CONNECTION LOST(接続が切れました)」
この瞬間、2つのものがbreakします。キーボードと、プレイヤーの平常心です。これが動詞breakの世界です。break単体ならシンプル。骨が折れる。グラスが割れる。物理的に「ポキッ」と壊れる、クリーンなイメージです。
でも、英語ではbreakが単体で使われることはあまりありません。ある短い単語、つまり「方向」を示す言葉を付け加えるだけで、すべてが変わるんです。単に「ポキッと折れる」のと、「システム全体が機能停止する」くらいの大きな違いが生まれます。ここで登場するのが、最初の、そして最も一般的なパターン、break downです。
Break downは、システムが機能しなくなった状態を指します。ただ壊れたのではなく、内部から崩壊した感じです。システムのエンジンが停止してしまったイメージですね。これは機械や計画、そして人にも使えます。
The tour bus broke down in the middle of the desert.
ツアーバスが砂漠の真ん中で故障した。
Negotiations between the two companies broke down completely.
両社間の交渉は完全に決裂した。
では、方向を変えてみましょう。内側(down)に向かって崩壊するのではなく、エネルギーが外側に向かって爆発したらどうなるでしょう?それがbreak outです。
Break outは、何かを閉じ込めている「容器」から抜け出すイメージです。それまで抑えられていたものが、突如として現れる感じですね。例えば、刑務所からの脱獄、病気や火事の発生、あるいは何かが突発的に起こる場合にも使えます。
He broke out of his boring routine and booked a flight to Thailand.
彼は退屈な日常から抜け出し、タイ行きの飛行機を予約した。
A huge cheer broke out when the home team scored the final point.
地元チームが最後の1点を決めたとき、大歓声が沸き起こった。
ラスボス:感情の物理学
break downが「崩壊」でbreak outが「脱出」なら、break upは何でしょう?これが一番、個人的にグッとくる表現かもしれません。バンドがbreaks up(解散する)。カップルがbreaks up(別れる)。これはシステムの機能不全でも、脱出でもありません。「分裂」です。
写真を引き裂くところを想像してみてください。英語ではtear it upと言います。ここでのupは、完全にバラバラになる、というニュアンスを持っています。関係がbreaks upする時、それはどちらか一方がダメだった、ということではありません。「カップル」という一つの単位が、完全に二人の個人に分裂してしまった、ということです。つながりが消えてしまったんです。
黄金ルールです。breakの後につく短い単語は、ランダムに覚えるものではありません。これは「エネルギーの方向」を示しているんです。Downは「崩壊」。Outは「脱出」。Upは「分裂」。この方向性をマスターすれば、意味もマスターできます。
Someone tried to break in last night.
昨夜、誰かが侵入しようとしました。
The scientists finally broke through in their search for a cure.
科学者たちは、治療法の探求においてついに大きな進展を遂げました。
She broke off their engagement just a week before the wedding.
彼女は結婚式のわずか1週間前に婚約を破棄しました。
He broke into a run when he saw the bus leaving.
彼はバスが行ってしまうのを見て、突然走り出しました。
After all our expenses, we just managed to break even.
すべての経費を差し引いて、なんとか収支トントンになりました。