インストラクターがラストスパートについて何か叫んでいます。脚は燃えるように熱く、耳にはビートがガンガン響き渡り、隣のバイクの人はマシンのようにペダルを漕いでいる。もう早く終わってほしい。そんな時、心の中でこう思うはずです。「I can't keep up with her(彼女にはついていけない)」と。
欧米では、スピニング(インドアサイクリング)のようなハードなフィットネスクラスが、一種の交流の場になっていたりします。エクササイズでありながら、周りからのプレッシャーも感じる、独特な空間なんです。
この「スピードや基準に合わせようとする」感覚。これこそが keep up with の核心です。
これは現代社会を動かすエンジンです。単に物理的なスピードだけの話ではありません。情報、トレンド、そして周りの世界が作り出す「見えないペース」。何かに keep up with するとは、それと同じレベルを保ち、遅れを取らないということです。
It’s impossible to keep up with all the new shows coming out.
新しく出てくる番組全部についていくなんて、とても無理です。
Netflixのような動画配信サービスのコンテンツが多すぎて追いきれない、という感覚は、まさに現代の「先進国ならではの悩み」であり、文化によっては少し補足が必要かもしれません。
He talks so fast, I can’t keep up with his logic.
彼の話は早口すぎて、論理についていけません。
しかし、時には同じレベルを保つことが目的ではありません。距離を作ること、それ自体が目的になるのです。
これが「Keep」の世界のもう一つの側面です。自分を守る必要がある時には keep away from を使います。これはスピードではなく、安全性の話。一線を画し、何か(あるいは誰か)がその線を超えてこないようにするための表現です。
You should keep away from him. He's nothing but trouble.
彼には近づかない方がいい。ろくなことにならないから。
The doctor told me to keep away from salty foods for a while.
医者から、しばらく塩辛い食べ物は控えるように言われました。
'Up' と 'Away' の引力
この2つのフレーズを、目に見えない力を説明するものだと考えてみましょう。keep up with は「社会的な引力」との戦いです。ニュース、テクノロジー、友人の体力レベルなど、世の中の「基準」は常に前進し続けるか、レベルが落ちるかのどちらか。それと同じレベルを保つには、絶えずエネルギーを使い続けなければなりません。立ち止まれば、置いていかれます。
一方、keep away from は異なります。これはバリアを張るようなイメージです。能動的に何かを押し返す、反発する力。自分が中心となって、ネガティブな要素を入れないように境界線を引くのです。物理的、感情的、社会的なものであれ、自分の空間の健全さを保つことが目的です。
黄金ルールです。動いている「基準」に合わせようとするなら keep up with。静止している、または近づいてくる「脅威」から安全な距離を確保したいなら keep away from を使いましょう。
She kept on asking until he finally agreed.
彼女は彼がとうとう同意するまで、問い続けました。
I bit my lip to keep from laughing.
笑わないように唇を噛みました。
The sign on the door said 'Keep Out'.
ドアの看板には「立入禁止」と書かれていました。
The police shouted for the crowd to keep back from the fire.
警察は群衆に、火から下がるよう叫びました。
Let's keep to the original plan.
当初の計画通りに進めましょう。
He was struggling to keep his anger in.
彼は怒りを抑えるのに苦労していました。